13歳未満の子供がVRを利用してはいけない理由
なぜ13歳未満の子供はVRを利用してはいけないのか。その理由と根拠について説明したいと思います。

物体が立体的に見える仕組み
引用元: PANORA VIRTUAL REALITY JAPAN
立体感は、2つの目から得られる視差を脳内で組み合わせることで得られます。現実とVRは、立体感・距離感を得るために両眼視差を用いるという点で共通していますが、映像が光学的に実際に存在する位置、つまりピントを合わせるべき位置が異なるというのがポイントです。現実では融像位置(両目の視線が交差し結像する位置)とピント位置は比例していますが、VRでは映像は常に表示パネル上に存在しているため、ピントが一定距離に固定されることになります。この違いが、日常と異なる眼球と水晶体の動作を利用者にもたらし、個人差はありますが、違和感の原因となります。
斜視になる可能性が高い
斜視とは両眼の視線が正しく見る目標に向かわないものをいいます。 外見上は片方の目が正しい方向を向いているのに,他の目が内側や外側,あるいは上下に向いている異常です。
引用元: PANORA VIRTUAL REALITY JAPAN
眼球は本来、2種類の輻輳と調節と言われる運動が適切に連動するようになっています。VRではそれとは異なる動きを眼球に強いるため、長時間の使用を行なうと、一時的に日常視の変化を来す場合があります。「近見視力の低下」、「輻輳近点の延長」、「遠見時の眼位の内斜偏位」といった症例が挙げられています。ただし、これらの影響はVR視聴後、10分ほどの休憩でほぼ正常に戻るようです。
一方、成長過程にある小児では、長時間のVR利用による影響が長期間あるいは不可逆的になる場合があります。正常な4歳11ヶ月の小児に3D映画を視聴させたのち、急性内斜視を発症した例があります。この例では回復に手術を必要としたとのことで、小児のVR利用は避けたほうがよさそうですね。
斜視になる大きな理由
特に大きな理由として、2点挙げられます。
それは「立体視する力」と「瞳孔間距離」です。小児はまだ立体視する力が弱く、個人によって強弱があり、この立体視細胞の発達は大体6歳くらいまでに完成するそうです。瞳孔間距離は黒目と黒目の距離の事です。成長するにしたがって頭の大きさも変わり、それに伴って瞳孔間距離も変化していき、10歳程度で完成するそうです。
この2点を考慮し、余裕を持って13歳に設定していると思われます。
各デバイスの対象年齢
デバイス名 | 推奨年齢 |
---|---|
ハコスコ | 単眼は全年齢・二眼は7歳以上 |
Gear VR | 13歳以上 |
Oculus Rift | 13歳以上 |
HTC Vive | 13歳以上推奨 |
Playstation VR | 12歳以上 |
Google Cardboard | 明記無し※1 |
※1 年齢の明記は無いものの、「大人の目の届かないところで、お子様が Cardboard を使用することがないようにしてください」と記載。
斜視に対するまとめ
対象年齢は13歳以上となっていますが、大人でも斜視にならないとは言い切れません。ユーザー側がしっかり使用方法を守ることが大事だと思います。子供に単眼VRを使用するときも対象年齢が大丈夫だからと、たかを括らず十分に注意を払って使用してほしいですね。
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